聖なる夜に

6.『ペコニャンの追跡』


「ポコニャン…」
ペコニャンは鳴き疲れ、古箱の中で少し休む事にしました。

と、その時です!ペコニャンは箱の中である異変に気付きました。
そこに、真新しい空色のハンカチが落ちていたのです。
「これは…さっきはなかったニャ・・ここに誰か…誰か来たんニャ…ということは・・・」

「誰かが・・ポコニャンを連れて行ったのニャ!」

ペコニャンは再び辺りを見回しました。
(なにか・・何か手がかりは・・?)
ペコニャンは必死になって探しましたが、手がかりになるような物はこの空色のハンカチの他には何もありませんでした。
(一体・・どうしたらいいニャ・・?)

ふと、さっきのおばあさんの言葉がペコニャンの頭に響きました。
―・・今夜はね街中の人が集まってここでクリスマス祭をやるんだよ・・大人も、子供も、み〜んな集まるのさ・・―

「そうニャ!みんなあそこに集まるって言ってたニャ!」
(待っててニャ!ポコニャン・・今行くニャ!!)
ペコニャンはハンカチをくわえ、かすかな希望に向かって駆け出していきました・・―。

―・・一方その頃・・・・

「おとぉうさぁぁあん!」
「・・?レイジー、クリスマスだっていうのに一体どこへいってたんだい?」
「おとうさぁん!それよりたいへんなの!このネコ・・」

男の子・・―レイジーははぁはぁと息をきらせながら父親に連れてきた病気のネコ・・―ポコニャンのことを話しました。

レイジーの父親は早速ポコニャンを診ました。
ポコニャンはぐったりとしたまま動きません。
(苦しいニャ・・声も出ないニャ・・)
「・・こりゃぁいかんな・・おそらくこれは・・伝染病にかかっているんだろう」
「でんせんびょう?」
「あぁ・・ネコだけにかかるヤツだ・・それも致死率の高い・・このネコも・・もうかなり危険な状態だ・・」
(!?)
「そんなぁ!なんとかならないの?おとうさん!」
「・・とりあえず・・できる限りの事はしてみるよ・・」
ポコニャンは絶望を感じていました。
(・・やっぱり・・ボクはもう・・ペコニャン・・逢いたい・・ニャ・・)
今、ポコニャンの願いはただ一つ・・『最愛の人のそばで・・』・・ただ、それだけでした・・―。

〜to be continue〜