聖なる夜に

5.『切ない思い出』


この二匹は、元は魔力を持った魔界猫でした。
人間と同様に喋ることも、歩くことも出来ました。
そして二匹は幼なじみの恋猫同士でした。
ところが、ある日突然別れはやって来たのです。

「ペコニャン、もう逢えニャいニャ…」
「!?」

ポコニャンはマージョリー一家のミャオに仕えるニャンコになったと言うのです。
「!!そ…そんニャ…」

驚くのも無理はありません。
なぜならペコニャンは、そのライバルであるアクージョ一家のニャンニャンに仕えるニャンシーだったから。

そんないがみ合っている両家です、家来同士が仲良く出来るはずもありません。
二匹の愛の間には、大きな障害が立ち塞がったのです。

ならばと、二匹は愛を選び駆け落ちする事を決意し、実行に移しました。

しかし、結局は見つかり、連れ戻されてしまいました。
どんな理由であれ、主人を裏切ろうとした罪は重く、二匹はそれから逢うことさえ出来なくなってしまったのです。

ただ悲しみと切なさだけが、二匹の胸を縛り付けていました。

その後、そんな二匹の想いに主人たちは、二匹を普通の猫にし、家を追放する事で仲を認めました。

二匹の猫の旅はここから始まり、毎日寄り添いながら生きてきました。
―…もう二度と…離れる事の無いように・・と・・・―――

〜to be continue〜