もう一つの結末

第3章「闇の王子」

魔界に来て一体どのぐらいの月日がたったのだろうか…

「………様…」
「…魔…様…」
「大魔王様?」

ふと少女が我に帰ると、先ほどの部下がすぐ傍まで来ていた。

「バール、まだいたのか?」
「何を言っておられるのです。私の話を聞いていなかったのですな」
「ああ」

そういうと少女は不服そうなバールを尻目に玉座へと向かった。

「で?なんのようだ?」
「は、先ほども言いましたが、我らが領内に地上より侵入した者がおります」
「地上?久しいな…しかしその程度の事をわざわざ報告するまでも無かろう」
「それが…すでに魔王クラスが3名、やられております。おそらくは超魔王級かと…」
「ほう?地上にもそんな奴がいたか…」
「何でも闇の王子を名乗っているとか…」
「!?」

闇の王子…
間違いない…彼だ…
闇の王子が魔界に進行を始めた…という事は…

「地上は滅んだか…」

自分でも驚くほど淡々とその言葉が綴られる

「御意に…少しはご傷心ですかな?」
「いや、興味は無い」
「左様で御座いますか…」

本当に興味が無かった。
すでに魔界の王として、その身を「闇」に染めた少女にとって、人間界の事などはどうでもよかった。
ただ、闇の王子という言葉に、平常ではいられない自分が非常に不快だった。

「私が直々に行こう、場所は」

そういうと少女は三たびバルコニーへ向かい、闇の王子の元へと飛び立った。

「クロワ…」

その言葉は誰にも届くことなく、魔界の闇に消えた…

〜to be continue〜