もう一つの結末

第1章「その少女」

「闇」…漆黒に染まる暗黒の世界…
熱いのか…寒いのか…
瘴気としか言い様の無い大気がうねりをあげる…
空は闇に染まり、まるで悪夢のようにその形を変え不気味な紋様を描く…

−魔界−

この世界がそう呼ばれてからどのぐらいの月日がたったのだろうか…
異形の住人達がその強大な力を破壊へと変換し、快楽を貪るように殺戮を繰り返す混沌の世界…
だが、この混沌止まぬ争いの世界に、一つの秩序がもたらされようとしていた。
たった一人の少女によって…

魔界のとある城…
そのバルコニーにその少女はいた。竜を思わせる屈強な翼、鋭い2本の角、頑丈な鎧と化した皮膚、少女とはいえ、その姿は異界の王者たる貫禄を漂わせていた。

ヴゥゥン…
大気の震える音と共に、羊を思わせる巨大な角を持った魔物が姿を現す。その体長はゆうに3mを超え、身体に付いた無数の傷が彼の戦歴を物語っていた。

「いかがなさいましたか?大魔王様」

その言葉に少女は無言でたたずむ。

「また人間だった頃の事を思い出しているのですかな?」

その部下の言葉に一笑し、少女はきびすを返した。

「不思議なものだ…とうに忘れたと思っていたが…」
「人間とは難儀な生き物で御座いますな」
「…かもしれんな……」

そういうと少女は再びバルコニーへと向かい、不気味な空を見上げた…

〜to be continue〜