コアゲーマーから見た次世代機-2

ゲームの質

さて、それではゲームの質について考えてみましょう。私見ですが、DSはこれらのハードの中で一番スペックが低いと思います。質、とりわけ画質や音質といった部分では圧倒的に劣っていると考えてよいでしょう。特にPS3とは比べようもありません。

しかしどうでしょう?発売日が違うとはいえ、週間売り上げを見てもDSとPS3では圧倒的な差がついています。未だに。

私は以前から、ゲームに必要なスペックはスーファミの頃に完成したと言い続けてきました。ハードの能力は面白いゲームのためには確かにある程度必要です。しかしそれはファミコンやセガマスターシステムといった古いハードに比べてであり、スーファミ以上の能力はゲームの面白さとは無縁だと言えます。

例えば聖剣伝説シリーズですが、映像や音楽、演出の点では圧倒的にPS2で出た4が一番だと思います。でもゲームとして面白いのはスーファミの頃の3です。クオリティの高い演出が、必ずしもゲームを面白くするわけではないのです。

そういう目で見ると、PS3がゲーム機としていかに無駄な能力を搭載しているかがわかります。しかし、PS3で出す以上、PS3クオリティを求められるのは必至でしょう。そうなればメーカー側の生産コストも増加します。バンダイナムコホールディングスの社長が「PS3は50万本(PS2の10倍)売れないと利益が出ない」と言っていましたが、PS2で100万本は確実に売れるゲームをPS3で出すことを考えた場合、PS2とPS3の普及台数を比べた上で50万本売れると思いますか?私は思いません。

こういうとPS2と同じレベルの作品を作ればコストは同じだ、などと言う人が出てきそうですが、それは無理です。先ほども言ったように、PS3で出すからにはPS3クオリティを求めるのが消費者です。それにPS2と同レベルの作品を作るならPS3で出す意味は無く、より普及率の高いPS2で出した方が企業の利益が大きいのは小学生でもわかるでしょう。

結果としてPS3は良質のソフトが揃わず、ゲーム機として見た場合、魅力のあるハードとは言えなくなってきています。そもそもソニーはPS3をゲーム機として考えていないといっていましたね?でもPS3の戦略は明らかにゲーム機を意識したものばかりです。なぜなら現在の消費者がPS3に求めているのはゲーム機としての機能が主であり、それをソニーもわかっているからだと思います。でもそれは大型コピー機付きFAX電話で携帯電話と競争しようとするのと同じではないでしょうか?結果は…数字に表れています。


ゲーマーが求めるゲーム

ここでゲーマーの立場に戻って、ゲームそのもの、つまりソフトウェア的な話をしたいと思います。

ゲーマーの立場から言うと、サターンやプレステ以降のポリゴン革命は「改悪」でした。これまで積み上げてきたドット絵の歴史とクオリティの崩壊。動くというだけの、命が吹き込まれていない(動画という意味での)アニメーション。そしてそれらの技術を無駄に搭載した駄作の乱立。ファミコン〜スーファミの頃を黄金期とするなら、ポリゴンはまさに暗黒期の始まりだったといえます。

表現力とはリアルな映像が作り出すものでしょうか?いいえ違います。私は以前から、ドラマは漫画に劣ると思っていました。表現力の点でです。漫画の世界は非現実的です。しかしだからこそ現実よりも躍動感にあふれ、迫力があり、情感に訴える事ができるのだと思います。

ドット絵はまさに漫画的手法によって表現力を伸ばしてきた分野です。それに取って代わったのは子供のお絵かきレベルのポリゴンたちが織り成す、素人以下の演技のドラマでした。現在では画質に関しては「人間に近く」はなってきましたが、演技力という点ではプロの俳優に明らかに劣ります。それはつまり、未だにドット絵の表現力に劣っているという事です。しかも画質が良いのはあくまでも「ムービー部分だけ」であり、普段のゲーム画面は相変わらず粗が多いし、中には初期のポリゴンかと思うような物もあります。

例えばダメージを受ける時などは、ドット絵の頃は大げさに痛がったり、目玉が飛び出たり、骨が見えるほど感電してみたりしたものですが、ポリゴンになってからというもの「うっ」とか言ってのけぞるだけです。ふにゃふにゃと気持ち悪い動きで。おんっもしろくも何ともねーの。

そういう意味で言って、GBAやDSのゲームは原点回帰とも言えるほど、ドット絵が多いです。勿論、GBAでポリゴンは無理があるわけですが、そのおかげでゲーム性を追及している作品が多く、私の中でゲーム機の正統進化は、ファミコン→スーファミ→GBA→DSとするべきだとさえ、思ってます。

見事に任天堂ばかりですが、私は任天堂派ではありません。ハードで好きなのはPCエンジンとか、サターンとか、その辺(笑)。でもソフトの充実度や名作数で言えば、圧倒的に上記4つが占めています。正直、PS2のゲームでもファミコンのゲームに劣ってるのは多いし。

ようするにゲーム機はいつの頃からか、ゲーマーが望まないゲームを作る土台作りに精を出し始めてしまったんだと思います。たぶんそれはライトゲーマーの獲得に大きく貢献したんでしょうが、ライトゲーマーはゲームに執着心が無いからこそライトゲーマーなのであって、そこに主軸を置いてはいずれゲーム離れが起きた際に、引いた波と一緒に消え去るのは当然の事だったんじゃないでしょうか?

そしてそれにいち早く気づいて、コアなゲーマーを納得させつつも、ゲームに興味の無い人達も取り込むことに成功したのがDSなんじゃないかと思います。そして気づくきっかけがGBAだったんじゃないでしょうか。しかしポリゴン世代のハードメーカーはそれができなかった。それが今の現状を表しているような気がしてならないのです。


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