幻想世界Vol.3 魔法について4

魔法の属性と精霊の関係

魔法は多くの場合4大精霊、すなわち火、水、土、風の精霊の力を根源とします。これに当てはまらないのが神聖魔法、いわゆる僧侶の使う「神の力」です。この4大精霊は世界を構築する基礎となっていることが多いようです。

しかし実はこれは定説をそのまま流用してあるだけに過ぎず、実はあんまり説得力が無かったりします。仮に世界を構成している要素があり、その各々に精霊が存在するとしたならば、そこに少なくとも火と風は含まれないし、他の属性も決してゲームのような分類にはならないでしょう。そもそも世界の構築にはそれぞれの構成要素が複雑に絡み合ってできているのだから、4つに分類するというのも乱暴なわけです。

例えば水は多くの場合冷気を内包します。しかし、水自体は固体、液体、気体の3つの形態を持ちその形態は圧力と温度によって変化します。つまり水の状態は温度と圧力という2つの外的要因によって変化するものであり、水自体が低温の要素を持つわけではありません。

土は大地の力とされ、特に植物や自然との関係が強調され、主に守護の力があるとされていますが、この大地を陸地、または岩石、鉱石を含む地殻全体と捉えるのか、それとも星そのものと捉えるのかによって内包するエネルギーが大きく変わってきます。しかしどちらにせよ植物は水と太陽の力無しには生存できないものであり、大地の力ではありません。更に星として捉えた場合には、どちらかといえば熱と磁力と引力と回転エネルギーの巨大な塊であり、守護というよりは最も破壊に近い力です。

風は非常に曖昧ですが、真空や雷、飛行、速度などの力を持つ事が多いようです。主に大気を指し示すようなのですが、そもそも大気は動植物の活動に欠かせない様々な気体を内包しており、地形と熱の作用で風が生み出されているので、大気と風は大きく異なります。風は大気と熱と大地による派生物なわけです。また移動速度など運動性能を大きく変える能力がありますが、それが大気や風とは関係が無い事は明らかです。もし仮に大気中の成分を自在に操る力を指し示すのであれば、それはあらゆる生命の命を握る事に等しいので、死をもたらす能力となるでしょう。

火は最も基本的とされ、最も攻撃的な破壊の力とされていますが、そもそも火自体が派生物です。炎は発火により発生します。この発火には様々な要員がありますが、まず大気中に燃焼する気体が無ければ決して発火しません。無理やり発火させてもすぐに鎮火するでしょう。炎を生み出すには大気との連携は不可欠ですが他にも燃焼物自体も必ず必要になります。また高熱を司る場合もありますが、そもそも熱は運動エネルギーの排出物であり、運動エネルギーの活性化が高温を生むと同時に、運動エネルギーの沈静化によって低温も生み出す事ができます。そして運動エネルギーの停止は氷結であり死です。さらに時間の停止でもあります。熱を操る能力は高温〜低温までを広く操る能力であり、一方に特化するという事は考えにくいです。また運動エネルギーの活性化は自己再生能力の促進でもあり、また老化の促進でもあります。火という分類は最もありえない分類なのです。


>この話の続きを読む