幻想世界Vol.3 魔法について3

魔法の限界

魔法は万能の力ではありません。あくまでも「技術」であり、法則無視はできません。魔法世界には魔法世界の法則があるはずです。

例えば宇宙空間から星のかけらを落とす魔法(隕石の魔法)は、その魔力を宇宙空間まで届かせる必要があります。それができるなら、世界中のどこにでも魔力を届かせる事ができるでしょう。また星を動かすほどの強大な力があるなら、山を動かす事など造作も無いはずです。どう考えても人間の力を超えています。

しかし、このような魔法が存在する一方で、魔力以外で開錠できない宝箱というのが存在しません。魔力による開錠でしか開かない扉もです。どちらもTRPGでは一般的であり、込める魔力が少なければ初歩的な魔法です。

簡単な魔法が存在せず、非現実的な破壊魔法が氾濫するCRPGの魔法は、科学を破壊兵器にしか転用できない世界と同じであり、その結末は文明の滅亡以外にありえないのではないかと思います。仮に魔王の脅威を排除したとしても、何の意味も持たないでしょう。


魔法使いに求められる能力

魔法使いに最も重要な能力は、飽くなき探究心と冷静さです。前述のように、魔法使いの役割はその豊富な知識によるパーティーの道標です。もちろん豊富な魔力、というのも必要なのかもしれません。しかしそれは攻撃魔法の威力などでは決してなく、むしろどんな困難な状況でも、冷静かつ的確な判断力でパーティを危機から救うための、手札の一つにすぎないのです。

魔法使いとは、賢者(賢き者)です。多くのゲームでは、賢者は攻撃魔法と回復魔法の両方が使える万能魔法職になっていますが、これはウィザードリィの影響でしょう。本来賢者とは、知恵ある者を称える称号であり、職業名ではないのです。最も厳密に言えば魔法使いも職業名ではありません。魔法を使う者(研究する者)の総称です。

つまり魔法使いに求められる能力とは、導き手としての知恵であり、知識なのです。さて、そこで問題になるのが若い魔法使いの存在です。本来魔法は未知の能力であり、多くの場合、限られた人間にしか使うことができません。その能力の発動には多くの修練と研究が不可欠で、ゲームに出てくるような若年魔法使いというのはほとんどありえません。古い魔法使いが老人限定なのはこのためです。


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