幻想世界Vol.2 誤解だらけの…防具編

皆さんこんにちは。くるるです。今回は前回の続き、幻想世界シリーズの防具編です。

ゲーム中の防具といえば防御力をアップさせ、ダメージを減らす役割をします。そして分類としては、盾(シールド)、鎧(アーマー)、兜(ヘルム)、籠手(ガントレット)、具足(グリーブ)という分類が多いようです。この分類にもかなり問題があるのですが、それ以前にもっと問題になることがあります。まずは、その辺から話していこうと思います。


戦いにおける防御とは

皆さん、漫画やアニメ、ドラマ、映画などで戦闘シーンを見たことがあると思います。その後ゲームをやって違和感を感じた事はあるでしょうか?その違和感の正体はたぶん「防御」です。

通常、どんな攻撃であれ、攻撃を受けるという事は非常に危険な事です。敵の攻撃を剣でいなし、軽やかな身のこなしでかわし、そして隙を突いて反撃する。これが誰でも思い浮かべる戦闘シーンです。ここから見て取れる防御とは、つまり「回避行動」になります(正確には回避からの反撃も含まれる)。

ところが、ゲームの場合、基本的に全ての攻撃を「受け止めて」います。その上で、防具や体力によって受けるダメージを減らしているわけです。この違いがわかるでしょうか?

先ほども言いましたが、どんな攻撃であれ、攻撃を受けるという事は戦いにおいて非常に危険な事です。たった数秒の油断で負った傷が、歴戦の勇者の命をあっさりと奪う事だってあります。人間の体は決して丈夫ではありません。どんなに強い戦士でも裸で戦って無傷という事はありえないし、隙をつかれた一撃は格下の相手にさえ致命傷を許してしまいます。

しかしゲームでは違います。レベルが上がれば素手で鉄のゴーレムを一撃で破壊し、屈強な戦士の剣による一撃を正面から跳ね返します。それも無傷で。場合によっては、ドラゴンの牙や炎のブレスに対し、かすり傷程度しか負わない事もあります。とりあえず、ゲームの主人公たちは「人間ではありません」。間違いなく。

それはさて置き、戦いにおいて防御とは、敵の攻撃を読み、反応して捉え、受け流し、回避し、そして「攻撃するチャンスを見つける」事です。また勝てない相手と悟った時でも、致命傷だけは受けないようにして逃げる機会をうかがい「生き延びるチャンスを増やす」事なのです。

ゲームの防御はそのターン、ダメージが半減するという、効果も説得力も存在理由もない一方的にダメージを受けるだけの行為であるのに対し、実際の防御は非常に「攻撃的な」行為なのです。


防具の役割

防具は本来、ダメージを無条件に減らせるものではありません。急所を守り、致命傷を受ける確率を少しでも減らすための「保険」です。どんなに強力な鎧を装備していても、むき出しの腕を切り落とされれば、何の役にも立ちません。まず相手の攻撃を回避する体術があって、初めて防具の意味が生まれます。

ここで問題になるのが防具の重さです。特に金属鎧は当然ですが非常に重く、着用者の動きを鈍くします。また柔軟性に欠けるため、動きの妨げにもなります。鎧を付けるという事は、それだけ回避、攻撃の両面においてデメリットを増やし、体力の消耗を増加させます。ゲームにおいて機動性(素早さが該当するのかな?)の重要性は非常に低いですが、実際の戦闘では機動性は最重要ファクターです。ちなみに機動性とは攻撃・回避における身のこなし、反応・動作の機敏さ、体力の消耗度合いなどが全て含まれます。

また、音というファクターもあります。金属鎧は動きに合わせて非常に大きな音を出します。この「音」が着用者の動きを敵に知らせる事もあり、戦闘で不利に働く事もあります。また夜に乗じて行われる作戦などに参加した際は、特に着用は許されないでしょう。仮に着用したまま参加すれば作戦は確実に失敗します。メタルギアシリーズをプレイした事がある人なら、戦場において「音」が重要な要素である事は言うまでもなく理解されていると思います。

しかし、それでもなお防具を身にまとうのは、先ほども言ったように急所を守り、致命傷を避けるためです。どんなに素早く動けても、戦いに絶対は有り得ません。ほんの一瞬の隙を突いて急所に一撃を入れられれば、それだけで即死です。つまりダメージの減少ではなく生き残る確率の上昇、それが防具の本当の役割です。

この時点で致命的な矛盾があるのでどうしようもないんですが、とりあえず次は防具個別の解説を見ていきましょう。

あ、その前に一つ。防具の重要性は命の重要性とも関わります。死んだ人間は生き返りません。そんな都合の良い魔法は存在しません。傷が完治するような魔法も同様です。だからこそ、生き残る確率を1%でも高めるために防具を装備する、という事を忘れないで下さい。


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