幻想世界Vol.2 誤解だらけの…防具編2

盾の誤解

さて、盾の役割などの前に、まず持ち方について。

皆さん盾の持ち方って知ってますか?よくゲームのイラストなんかで、円形の盾の裏にドアの取っ手のような部分が付いていて、そこを握って持つようになっているものがありますよね。アレね、あんな持ち方をしたら、大人でも子供の攻撃で怪我しますよ。

本来は盾の裏にいくつかのベルトが付けられていて、それで腕に固定して使います。そうでなければ簡単に盾を落としてしまいます。また、大きな盾(タワーシールドなど)は、地面に置いて固定し、その後ろに隠れるようにして使います。日本の機動隊の使うジェラルミンの盾、あれこそ現代のタワーシールドであり、その正しい使い方です。

盾というのは、実は鎧以上に動きの邪魔になります。そのため日本では重要視されず、過去に存在した事すら知らない人もいるぐらいです。しかしながらゲームによっては最重要防具に位置づけられている場合もあるのは面白いかもしれません。

さて、盾の使い方ですが、敵の攻撃を受け流すのが最も多い使い方です。この使い方は斬る事が主体で、さらに軽量の武器が多かったアラビア系では威力を発揮しました。ところが幻想世界では強大な合成獣(キメラ)や、オーガ、トロールなどを相手にしなければなりません。そういった人間の能力を超えた破壊力が相手では、受け流す事自体が難しく、また受け流したとしても腕に相当の衝撃があるでしょうし、ヘタをすれば骨が砕けます。

もちろん熟達した戦士ならば、その衝撃を減らす事はできるでしょう。しかしそれも一朝一夕で身に付く技術ではないのは明らかです。

ただし、魔物に吐きかけられた毒液を防いだり、閃光から身を守ったりと、広い範囲で役に立つ事はあります。幻想世界における盾の利用法は、不測の事態に素早く対処できる(場合がある)、または実力格差が小さい相手との格闘戦に有利、という程度と考えられます。相手によっては装備している事が、逆に不利を招く結果にもなりえます。

また当然ですが戦闘スタイルによっても盾の重要性は変わってきます。日本刀を装備した剣士に、盾を装備させるのは邪魔にしかならないと思います。

ただ、コーディネートを考えると、やはり剣を装備した戦士には盾を持たせたいものです(笑)。


鎧の誤解

鎧の一番の思い違いは、分類そのものです。鎧は一つのパーツではありません。いくつもの部位を保護する防具を合わせて鎧となります。また特に胸部を守る防具をさして鎧と呼ぶこともあります。また重ね着する事が常識でした。

例えばスーツアーマー。これは馬上戦などで使われた頭から足の先まで全身を完全に覆った鎧です。非常に重く、着て地上を歩く事さえ困難でした。完全に金属だけで作られ、間接部分を保護するために中にチェインメイルと呼ばれる、針金を編んで作った鎧を着た上から金属鎧で武装します。

ちなみにチェインメイルの内側には衝撃を和らげるためにソフトレザーを着込んだり、また鎧から「素肌を守るために」クロース、つまり衣服を着ています。このクロース単体を鎧と称するゲームがあるのには(別の意味で)脱帽するしかありません。

部位で分ければ、ブレスト(胸部)、バック(背中)、チェスト(腰)、スカート(腰から腿にかけて)、ショルダー(肩)、グリーブ(すねから足)、パンツ(腿)、ガントレット(腕・手・指)、ヴァンブレイズ(二の腕)、ヘルム(頭部)、フェイス(顔)、など細かく分けられます。他に心臓部などの急所だけを覆ったものや、いくつかの部位が一体となったものなどがあり、着用者の身体能力や戦う相手、重視される能力に合わせて選ぶようになります。

また、材質も大きな分類になっており、例えば金属製の鎧の内側に、ソフトレザーと呼ばれる皮製の鎧を着て衝撃を減らしたり、クロース(丈夫な衣服)を着て金属の鎧から素肌を守ったりと、いくつかの胴防具を重ねて着ることで身を守っています。

よくゲームのイラストで素肌に金属鎧を着ている女戦士のイラストがありますが、あれをやると金属によって素肌が擦れたり、あざや擦り傷などが絶えなくなるため、仮に女性の戦士が実際にいたとしても「絶対にやらない」と思います。というか、男でもやりませんけどね。金属鎧を素肌に着たら、痛み以前に、昼夜の気温差にさえ対応できずに、のたれ死ぬのがオチです。

ちなみに鎧を着たり脱いだりするのは非常に時間がかかります。しかし、これを着たままで寝るというのは非常に寝心地が悪く、疲れを完全に癒す事も難しいでしょう。野宿の際は武装を解くことは危険なので仕方ありませんが、宿屋などでは鎧は脱いで寝るのが普通だと思います。

ただし、この場合に寝込みを襲われたら、鎧を着てる余裕はありません。持って逃げる余裕もないでしょう。冒険者が善であれ悪であれ、名前が売れてくれば当然のように敵が増えます。例え街中であっても気を抜かない警戒心こそが、命を守るのに最も有効な「防具」なのかもしれません。


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