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ジェリービーンズ 小説


Priere

わたしが女神さまとシェリーさんに導かれて、お兄さまと再会してから数年後。

わたしはこのオレンジ村で出会った人と結婚して、今は小さな家で暮らしています。

もちろん、結婚式はオレンジ村の教会で。

わたしのウエディングドレスは、シェリーさんが選んでくれたの。

わたしが初めてシェリーさんと会ったあの時、
シェリーさんの左手にはめられた銀色の指輪に憧れていたのが懐かしい。
今は、わたしもシェリーさんと同じく銀の指輪を左手の薬指に。

本当にシェリーさんはお姉ちゃんみたいで、大好き!

わたしが彼と付き合っている間も、結婚を決めるときも色々と相談にのってくれたし。

今日はわたしとシェリーさん2人でお休みをもらったので、一緒にマザーグリーンまでお買い物に行くの。

シェリーさんのお家はご近所なので、すぐに会いに行ける。

「シェリーさん、待ってるかな?」

石段を上っていくと、玄関のドアが開いてシェリーさんとコルネットちゃんが出てきた。

「あら、ちょうど今、ブリジッドちゃんを迎えに行こうとしたところなのよ」

「そうなんですか?
わたしもシェリーさんをお迎えに行こうと思ってたんですよ〜。
考えることは一緒ですね♪」

2人でくすくすと笑っていると、コルネットちゃんが早く行こうよぉ〜と急かす。

そんなコルネットちゃんに、シェリーさんは言い聞かせる様に優しく言う。

「いい?コルネット。
今日は1日、いい子にしてるのよ。
ブリジッドお姉ちゃんを困らせちゃダメよ?」

「はぁーい♪」

そんな親子のやりとりを見ていたら心が和んでくる。

今日は・・・。

今日は・・・シェリーさんに大切な話があるから・・・。




マザーグリーンに着くと、たくさんの人でとても賑わっていた。

「いつ来てもここは賑やかねぇ」

「そうですね!コルネットちゃん、迷子にならない様に気をつけてね」

「だいじょーぶ!こうすれば迷子にならないよ〜♪」

そう言うとコルネットちゃんはわたしとシェリーさんの間に来ると、
右手でシェリーさん、左手でわたしの手を握ってきた。

「もう、コルネットったら。甘えん坊ねぇ」

微笑むシェリーさんが女神さまみたいに見えた。




「さて、どこに行こうか?」

シェリーさんが周りを見回しながらどこに行こうか考え中。

「あ、わたし雑貨屋さんに行きたいです!」

わたしが提案すると、最初の行き先はすぐに決定した。

「じゃあ、まずは雑貨屋さんに行きましょ♪」

レンガ造りのおしゃれな雑貨屋さんは、マザーグリーンで人気のお店なので
店内もお客さんでいっぱい。

「これ、可愛いわね。買って行こうかしら」

シェリーさんが可愛いと言ったものは、花模様の食器のセット。

大・中・小のお皿とお揃いのカップが2つ。

「ほんとう、可愛いですね!」

隣の棚には、お揃いのティーセットが並べられていた。

「シェリーさんが食器のセットを買うなら、わたしはこっちのティーセットを買おうかな?」

「そうね、お揃いで買おうか♪」




「お待たせ。いっぱい買っちゃった♪」

シェリーさんは大きな紙袋を持ってお店から出てきた。

「シェリーさん、重くないですか?」

「これくらい大丈夫よ!」

(シェリーさんってたくましいなぁ〜!)

「はい、コルネットちゃん。プレゼントよ♪」

わたしがコルネットちゃんにあげたのは、可愛いアヒルのぬいぐるみ。

真っ白のアヒルの頭には金色の王冠が乗っている。

「わぁ、かわいい!ありがとうブリジッドおねえちゃん♪」

「ありがとう、ブリジッドちゃん。よかったわね、コルネット」

「うんっ」

嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめているコルネットちゃんの頭を撫でながらシェリーさんがお礼を言ってくれた。

「どういたしまして♪
これ、いろんな色があったんだけど、コルネットちゃんには白がいいかなって思って」

「わたしも買ったんですよ。ピンクのアヒル」

「このぬいぐるみ、本当に可愛いわねv」




「次はどこに行きます?」

「あたしのオススメのお店があるの。次はそこへ行きましょ♪」

シェリーさんのオススメのお店は、マザーグリーンの奥の広場にあった。

「ここもお客さんがいっぱいですね〜!」

「そうね。昔はそんなに混んでなかったんだけど・・・」

「シェリーさん、このお店は前からあったんですか?わたし、初めて知りました〜」

「ええ。ここはあたしの思い出の場所でもあるの。さ、入りましょ♪」

このお店は、甘い香りが店内いっぱいに広がるおしゃれなカフェだった。

普段はマザーグリーンへは行かないからか、こんなカフェがあるなんて知らなかった。

「何にしようかな〜?」

メニューが書かれてあるカードを見つめながら悩んでいると、
シェリーさんはすぐに決めてしまった。

「あたしはさくらんぼのタルトと紅茶にするわ」

「えっ!決めるの早いですね〜!」

「あたしはここへ来ると食べたいものは決まってるからネ♪」

そう言ってウインクしてみせる。

「う〜ん・・・わたしは・・・何がいいかなぁ〜。
あ、オレンジタルトとアイスティーにしよう!」

「こるねっと、ちょこれーとけーきにする〜!」




「それでね、その後コルネットがね・・・」

シェリーさんが楽しそうに色々なお話を聞かせてくれる。

コルネットちゃんはチョコレートケーキをおいしそうに頬張っている。

「コルネット、おいしい?」

「うん!おかあさんにもあげる〜」

「ありがとう♪」

チョコレートケーキをコルネットちゃんに食べさせてもらうシェリーさん。

いいなぁ、母娘(親子)って・・・。




1時間くらい時間が経った後。

「シェリーさん。聞いてほしいお話があるんです」

「なぁに?ブリジッドちゃん。改まってどうしたの??」

言葉にするのが嬉しいけれど、同時に恥ずかしくって・・・
でも、聞いてほしいから。
わたしは思い切って切り出した。

「・・・わたし・・・赤ちゃんを女神さまから授かったみたいなんです///」

「え!本当に?!おめでとう!ブリジッドちゃんもお母さんになるのね〜♪」

「ありがとうございます///」

「アルスくんには話したの?」

「いえ・・・まだ。いちばん最初にシェリーさんに聞いてほしかったから。まだ彼には話してません」

「・・・ブリジッドちゃん、ありがとう」

「え?」

「こんなに大切な事をいちばん最初にあたしに話してくれて・・・」

「わたし、シェリーさんが大好きですから♪」

「シェリーさん、これからは子育ての相談にものってくださいね!頼りにしてますから♪」

「まかせて♪」

「ブリジッドちゃん、さっき雑貨屋さんで買ったあのアヒルのぬいぐるみ、
自分に買ったって言ってたけど、本当は赤ちゃんへのプレゼントだったのね♪」

「!!さすがシェリーお姉さま。鋭いですね!!」

「やっぱり♪でも、ピンクのアヒルってことは・・・女の子?」

「はい!なんとなく、女の子だってわかる様な気がするんです」

「あ!それわかるわ!あたしもそうだったもの」

「そうなんですか?!じゃ、やっぱり女の子なんだわ♪」

「名前はどうするの?」

「いくつか候補があるんです。その中からシェリーさんに選んでもらおうかな?って・・・」

「ダメよ。名前は重要なんだからアルスくんと決めなきゃ〜」

「シェリーさんに選んでもらった名前を、彼にも聞いて決めますから大丈夫ですよ★」




それからしばらく時が経って――-

わたしは無事に「お母さん」になって

天使の様な可愛い女の子を授かりました。

娘の名前は――-。

”Priere”

”プリエール”

シェリーさんと彼とお兄さま、みんなで決めたこの子の名前。

みんなの”祈り”が込められた大切な大切な名前。

わたし、シェリーさんみたいなお母さんになれるかな?

プリエールにはコルネットちゃんみたいに、素直で元気な子に育ってほしいと思っています。

愛しい我が子の成長を見守っていきたい。

みんなの”愛”のぬくもりの中で―――。

*・・・Fin・・・*


このSSについて

<光に導かれて・・・>を書いた後、勢いで(?)続編まで書いてしまいました(^U^;

自分のオリジナルキャラにはやっぱり幸せになってもらいたい!!ってことで、こんなお話を。

ブリジッドはわたしの憧れそのものです(笑)
自分には到底叶わないだろう、その願いを彼女に託しました。

SSのタイトルにもなっている”Priere”はフランス語で”祈り”という意味です。

ブリジッドの旦那は名前しか出てきませんがちゃんといますよ(苦笑)
名前は、某天使モノS・RPGの天使(プレイヤー)の名前です♪

<想いに気づいた瞬間>に出てきたカフェが今回も登場してます。
シェリーさんの思い出の場所。

ちなみに、ブリジッドがちびコルネットにあげたアヒルのぬいぐるみは
ア○ラックのじゃないですよ(笑)

マール小説のあのアヒルです!
勝手に増殖させてます(笑)
お店で普通に売ってる・・・。

あれ、本当に可愛いですよね♪
密かに商品化希望〜!

今後もマールへのラブパワー(?)で何か書くかもしれません。
そのときはまた、クルル人形館さまのこの保管企画にお世話になりたいと思います♪

*07/06/24*
*リアス*

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