号外:ネット上の画像の保存

皆さんこんにちは。くるるです。今回はちょっと気になる事があったので号外という形で久しぶりにエッセイ更新します。ちなみに連載再開はまだ先になりそうです。


ネット上の画像

さて、皆さんはインターネットで色々な画像を目にしていると思います。イラストを掲載しているサイトも多いですし、お絵かき掲示板なんてものもあります。イラストに関係ないサイトでも、デザイン上の素材として画像を使用しているところも多いです。だから逆に画像のないサイトを探す方が難しいかもしれません。

ところで皆さん、画像が掲載されているサイトで「ダウンロード禁止」という注意書きを見た事はありませんか?もしくは、画像保存を制限する目的で右クリックを禁止しているサイトなどです。実は最近、こういうサイトが増えています。

※注:増えているというのは私が最近見たサイトに対する割合であって非常に主観的なものです。統計を取ったデータではありませんので注意。

でもこれって実は法的拘束力も無ければ、ユーザビリティにも反しているし、なにより画像のダウンロードを禁止する事は「物理的に不可能」な上、右クリック禁止に関しては違法の疑いもあるんですよね。


ダウンロードとは?

ちょっと横道にそれますが、ダウンロードってどういう意味だか知っていますか?多くの人は、画像を右クリックして「名前を付けて保存」する事とか、ダウンロードの確認をOKを押して自分のパソコンにファイルを保存する事とか思ってるかと思います。中にはデータをパソコンに保存し、それをネット上に公開する事だと思ってる人もいるようです。

ちなみに最後のはダウンロードではなく「アップロード」ですね。全然違います。では最初の二つはどうなのかと言うと、実は微妙に違ったりします。

結論から言うと、ダウンロードとはWEBサーバー上にあるファイルを、ネットワークを通じてローカルディスクにコピーする事です。それはパソコンだけでなく携帯電話かもしれないし、コンピュータ搭載の電子レンジかもしれないし、自作の基板むきだしの作りかけコンピュータかもしれません。

また、ダウンロードはユーザーが指示したかどうかに関係なく、アプリケーションの機能として働く場合があります。例えばメールソフトでメールが届くのは、メールソフトが自動的にメールサーバーからメールデータをダウンロードしているからです。そしてインターネットエクスプローラーなどのブラウザも、自動ダウンロード機能を持っています。

ではブラウザはどういう時にダウンロードするのか。実はページを表示する時に「そのページを構成する全データ」をダウンロードして表示しているのです(※最近では一部例外あり)。


ブラウザがダウンロードするデータ

さて、では実際にどういうデータをダウンロードするのか見てみましょう。例えばクルル人形館のトップページを思い浮かべてください。いくつかの画像と文章があります。この文章部分はHTMLファイルに書かれていますが、画像データは別のファイルになっています。またデザイン部分にスタイルシートを使っていて、そのファイルも別になっています。

細かく言うと、HTMLファイル1つ、スタイルシートファイル2つ、画像ファイル12個で構成されています。ブラウザはページを表示する際、これらのファイルを「全て」ダウンロードします。そしてダウンロードしたファイルを読み込んでページを表示するわけです。

つまり、ページに画像が表示された時点で、すでにファイルはダウンロードされているわけです。なぜなら、ダウンロードできないファイルは表示できないからです。

おわかりでしょうか?「ダウンロード禁止」とは「表示禁止」と同じ意味なのです。「見ても良いけどダウンロードはダメ」というのは物理的に不可能だというのは、こういう意味です。


ブラウザがダウンロードしたファイルの場所

さて、ダウンロードしてあるからにはそのファイルはパソコンのどこかに保存されているはずです。それはどこでしょう?実は場所を知らなくてもブラウザから簡単に表示できます。

ここでは WindowsXP で InternetExplorer6 を使っている場合を例にします。

まず上部のメニューから「ツール」を選び、「オプション」をクリックします。

すると一回り小さいウィンドウ(ダイアログボックスと言います)が表示されます。

その中に「インターネット一時ファイル」と書かれたコーナーがあると思います。そこの「設定」ボタンをクリックしてください。

また新しいダイアログが出ますので、「ファイルの表示」ボタンをクリックします。

これで自動ダウンロードされたファイルが保存されたフォルダが開きます。ここには今までに見たサイトの構成ファイルが保存されています。インターネットアドレス順に並び替えると、構成がわかりやすくなります。そこで www10.plala.or.jp/ALPS/ningyokan にある「logo」もしくは「logo.png」という画像ファイルを開いてみてください。人形館のロゴが表示されると思います。

ユーザーが保存を選んだかどうかに関係なく、全てのファイルは保存されています。そのため、通常は見れないスタイルシートファイルやJavaスクリプトファイル、右クリック禁止されたサイトの画像データなんかも見れます。これはブラウザの機能から考えれば当たり前の事です。


ダウンロード禁止の法的拘束力

それではダウンロード禁止の法的拘束力について。ダウンロード禁止をうたっている主な理由は、無断ダウンロードが著作権違反だから、という主張が多いです。しかし著作権ではそんな表記はどこにもありません。

確かに「無断複製」は違法です。そしてダウンロードはファイルのコピー(つまり複製)なので、なるほど一見すると違法に見えなくもありません。でも良く考えてください。それが違法ならブラウザ自体が違法なソフトになってしまいます。

でも違法ではないんです。著作権では複製について例外を設けています。それは「家庭内、またはそれに準ずる範囲内において使用する場合に限り、無断で複製できる」というものです。平たく言えば、個人的に楽しむ分には勝手にコピーして良いよ、って事です。ブラウザでの閲覧は、まさにその通りです。個人的にネットカフェはこの部分に違反してるような気がするんですけど大丈夫なんですかね?どうでも良いけど。

※注:ここでいう個人的というのは、第三者を含まない範囲でという意味です。個人的に知り合いにあげたとか、個人的に売った、なんていうのは単なる言い訳で、紛れもなく違法行為です。通販だろうが無償だろうが、第三者への譲渡は認められません。ただし家庭内は大丈夫なので、家族に見せたり、渡したりするのは大丈夫です。ちなみに印刷して自営業の自宅兼店舗に飾るというのは、単なる飾りだとしても商用利用になりますから違法です。注意してください。

さて、と言う事はネット上で気に入った絵をパソコンに保存し、それを後から眺めてニヤニヤする分にはまったく違法ではない事になります。だからダウンロード禁止の表記は、法的拘束力はまったくなく、逆に利用者の権利の侵害になるんじゃないかと思うんですけどね。いずれにしてもブラウザが勝手にダウンロードするのは止められないわけだし、名前を付けて保存は、実は先ほど見た自動保存されるフォルダから、好きなフォルダにコピーしているだけなので、実はダウンロードじゃないし。

※注:ここでいうダウンロード禁止は、あくまでも「表示されている画像」に関するものです。リンクをクリックしないとダウンロードできないタイプのファイルや、認証が必要なタイプなどには当てはまりませんので注意してください。それからこれはあくまでもダウンロードの話であり、アップロードになると全然変わってきます。著作物のアップロードは、理由に関係なく、権利者に無断で行えば公開・非公開に関わらず犯罪です。気をつけましょう。

ダウンロード禁止がいかに無意味な警告かわかってもらえたでしょうか?(モラル云々を主張する人もいますが、それはまた別の話。興味のある方はご一報くだされば、今度エッセイで取り上げます)


右クリック禁止の違法性

そして問題は右クリック禁止です。あれはまったく意味がないばかりか、画像保存以外の操作も禁止します。それはユーザーに対する迷惑行為であり、ブラウザの機能妨害でもあります。それが意味するものは「器物損壊罪」に抵触する行為だと言う事です。

器物損壊罪とは物を壊したときに適用される罪ではありません。それ本来の使い方ができなくなった場合に適用される罪、と解釈されています。つまり右クリックでメニューを開くというブラウザが本来持っている使い方ができなくなる「右クリック禁止」は、器物損壊罪に当てはまる可能性は十分にあります。

実際に違法性があるかどうかは前例がない(日本の法律では判例のない事象は違法性の可否が判断できない事が多い)ので何とも言えませんが、器物損壊罪の定義から見れば、違法と言っても過言ではないと思います。

右クリック禁止・・・私はやめた方が良いと思うんですけどね・・・


余談ですが、フラッシュサイトの画像なんかはダウンロードできません、でもPaintScreenキーでコピーして画像ソフトで貼り付ければ、画面全体を画像ファイルにできます。該当部分だけ切り抜けば間接的にパソコン内に保存する事が可能です。この方法を防ぐ手段はありません(せいぜい画像に「サンプル」などの透かしを付けるぐらいしかできない)。これも個人で楽しむ分には違法ではないので、安心して楽しみましょう。ただし、流出させたら罪になる可能性大ですから取り扱いにはくれぐれもご注意を。


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