コアゲーマーから見た次世代機-全文

Wii vs PS3?、DS vs PSP?

世間では一般に、WiiとPS3のどっちが売れてるとか、週間売り上げでどっちが勝ったとか、ソニーの未来は大丈夫なのかといった話題が良く持ち上がっています。また、同じ任天堂vsソニーの図式であるためか、DSとPSPが比較される事も多いようです。まあ次世代機であるはずのXBOX360は完全に蚊帳の外という印象ですが(苦笑)

さて、こういった比較はユーザーが購入の際に参考になるかというと、実際はそうではないと思います。どちらかというと、ネタが無いマスコミが面白く取り上げてるような雰囲気も無きにしも非ずというか・・・(笑)

というのもですね、ゲームの世界にどっぷりのゲーマーから言わせてもらえば、これは全く意味の無い比較だからです。

参考までに2007年12月現在の各機種の国内販売台数

PS2 約2000万台(らしい)
NDS 約2000万台
PSP  約700万台
Wii  約400万台
PS3  約150万台
XBOX360  約50万台
参照:http://www.geocities.jp/v7160c_l5/index.html

ゲーマーにとってのゲーム機

ゲーム機というのは実際問題として、どれだけ面白いゲームが遊べるか、という事に尽きます。本体の性能がよくてもソフトに恵まれなければどうにもならない事は、残念ながらセガが身をもって証明してくれました。私はセガハードのゲーム大好きですねどね。やはりマニアックなタイトルが多かった・・・というかメジャーで万人向けのタイトルのほとんどをライバル機に取られていたのが厳しいところでしたね。まあ、サターンの外部メモリは問題外でしたが(苦笑)

それは置いといて、結局何が言いたいかというと、ゲーマーの立場から見れば、どのゲーム機を選ぶかは選択肢の一つであり、その点においては決してライバルではないという事です。ただし資金は無限ではありません。財布と相談するという事は「すべてのハードがソフトとライバル関係になる」という事です。


ライバル関係

例えば今現在、上に挙げたハードを1台も持っていないとします。その場合、選択肢は、DS+ソフト、PSP+ソフト、Wii+ソフト、PS3+ソフトの4つです。

しかし、これは同じ値段ではないのは一目瞭然。PS3+ソフトのお金があれば、DS2台+ソフト4本はいけます。という事は、そもそも予算の段階で土俵に立つことすらできない可能性のあるハードが存在するわけです。

それから、WiiとDSのように、同じメーカーで違うコンセプトであっても、ライバル関係は成立します。これらが共存できるのは資金が潤沢であればこそです。限られた資金の中では同一メーカーといえどライバル関係には違いないのです。


共存関係

先ほど限られた資金の中では、と書きましたが、逆に潤沢な資金の中では全てのハードが共存可能です。DSもPSPもWiiもPS3もXBOXさえも全部買えるわけです。ここにライバル関係はありません。という事は、ライバル関係が発生するのは限られた資金の中でのみ、という事にもなります(部屋の広さという問題も残っていますが)。

さて、この場合、一番売れやすいのはどんなハードでしょう?限られた資金の中でハードだけでなく、ソフト代も必要になるわけですから、当然、ハード自体の値段も大きなセールスポイントになります。

逆に言えば値段が高くなるほど購買層が狭くなるという事です。そしてその狭まった購買層は、すでにより安いハードも所持している可能性が高いという事です。売り上げを見てみると、1番安いDSが一番売れてます。2番目に売れてるのは2番目に安いPSPです。これは偶然とは思えません。

またDSはソフト代も他の機種に比べると安いと思います。同じ資金でより多くのゲームを遊べる。ゲーマーにとってこれは一番大事な魅力なんじゃないでしょうか?


ゲームの質

さて、それではゲームの質について考えてみましょう。私見ですが、DSはこれらのハードの中で一番スペックが低いと思います。質、とりわけ画質や音質といった部分では圧倒的に劣っていると考えてよいでしょう。特にPS3とは比べようもありません。

しかしどうでしょう?発売日が違うとはいえ、週間売り上げを見てもDSとPS3では圧倒的な差がついています。未だに。

私は以前から、ゲームに必要なスペックはスーファミの頃に完成したと言い続けてきました。ハードの能力は面白いゲームのためには確かにある程度必要です。しかしそれはファミコンやセガマスターシステムといった古いハードに比べてであり、スーファミ以上の能力はゲームの面白さとは無縁だと言えます。

例えば聖剣伝説シリーズですが、映像や音楽、演出の点では圧倒的にPS2で出た4が一番だと思います。でもゲームとして面白いのはスーファミの頃の3です。クオリティの高い演出が、必ずしもゲームを面白くするわけではないのです。

そういう目で見ると、PS3がゲーム機としていかに無駄な能力を搭載しているかがわかります。しかし、PS3で出す以上、PS3クオリティを求められるのは必至でしょう。そうなればメーカー側の生産コストも増加します。バンダイナムコホールディングスの社長が「PS3は50万本(PS2の10倍)売れないと利益が出ない」と言っていましたが、PS2で100万本は確実に売れるゲームをPS3で出すことを考えた場合、PS2とPS3の普及台数を比べた上で50万本売れると思いますか?私は思いません。

こういうとPS2と同じレベルの作品を作ればコストは同じだ、などと言う人が出てきそうですが、それは無理です。先ほども言ったように、PS3で出すからにはPS3クオリティを求めるのが消費者です。それにPS2と同レベルの作品を作るならPS3で出す意味は無く、より普及率の高いPS2で出した方が企業の利益が大きいのは小学生でもわかるでしょう。

結果としてPS3は良質のソフトが揃わず、ゲーム機として見た場合、魅力のあるハードとは言えなくなってきています。そもそもソニーはPS3をゲーム機として考えていないといっていましたね?でもPS3の戦略は明らかにゲーム機を意識したものばかりです。なぜなら現在の消費者がPS3に求めているのはゲーム機としての機能が主であり、それをソニーもわかっているからだと思います。でもそれは大型コピー機付きFAX電話で携帯電話と競争しようとするのと同じではないでしょうか?結果は…数字に表れています。


ゲーマーが求めるゲーム

ここでゲーマーの立場に戻って、ゲームそのもの、つまりソフトウェア的な話をしたいと思います。

ゲーマーの立場から言うと、サターンやプレステ以降のポリゴン革命は「改悪」でした。これまで積み上げてきたドット絵の歴史とクオリティの崩壊。動くというだけの、命が吹き込まれていない(動画という意味での)アニメーション。そしてそれらの技術を無駄に搭載した駄作の乱立。ファミコン〜スーファミの頃を黄金期とするなら、ポリゴンはまさに暗黒期の始まりだったといえます。

表現力とはリアルな映像が作り出すものでしょうか?いいえ違います。私は以前から、ドラマは漫画に劣ると思っていました。表現力の点でです。漫画の世界は非現実的です。しかしだからこそ現実よりも躍動感にあふれ、迫力があり、情感に訴える事ができるのだと思います。

ドット絵はまさに漫画的手法によって表現力を伸ばしてきた分野です。それに取って代わったのは子供のお絵かきレベルのポリゴンたちが織り成す、素人以下の演技のドラマでした。現在では画質に関しては「人間に近く」はなってきましたが、演技力という点ではプロの俳優に明らかに劣ります。それはつまり、未だにドット絵の表現力に劣っているという事です。しかも画質が良いのはあくまでも「ムービー部分だけ」であり、普段のゲーム画面は相変わらず粗が多いし、中には初期のポリゴンかと思うような物もあります。

例えばダメージを受ける時などは、ドット絵の頃は大げさに痛がったり、目玉が飛び出たり、骨が見えるほど感電してみたりしたものですが、ポリゴンになってからというもの「うっ」とか言ってのけぞるだけです。ふにゃふにゃと気持ち悪い動きで。おんっもしろくも何ともねーの。

そういう意味で言って、GBAやDSのゲームは原点回帰とも言えるほど、ドット絵が多いです。勿論、GBAでポリゴンは無理があるわけですが、そのおかげでゲーム性を追及している作品が多く、私の中でゲーム機の正統進化は、ファミコン→スーファミ→GBA→DSとするべきだとさえ、思ってます。

見事に任天堂ばかりですが、私は任天堂派ではありません。ハードで好きなのはPCエンジンとか、サターンとか、その辺(笑)。でもソフトの充実度や名作数で言えば、圧倒的に上記4つが占めています。正直、PS2のゲームでもファミコンのゲームに劣ってるのは多いし。

ようするにゲーム機はいつの頃からか、ゲーマーが望まないゲームを作る土台作りに精を出し始めてしまったんだと思います。たぶんそれはライトゲーマーの獲得に大きく貢献したんでしょうが、ライトゲーマーはゲームに執着心が無いからこそライトゲーマーなのであって、そこに主軸を置いてはいずれゲーム離れが起きた際に、引いた波と一緒に消え去るのは当然の事だったんじゃないでしょうか?

そしてそれにいち早く気づいて、コアなゲーマーを納得させつつも、ゲームに興味の無い人達も取り込むことに成功したのがDSなんじゃないかと思います。そして気づくきっかけがGBAだったんじゃないでしょうか。しかしポリゴン世代のハードメーカーはそれができなかった。それが今の現状を表しているような気がしてならないのです。


DSの強さの秘密

DSの強みは、タッチペンだと思います。私はDSを買う前はタッチペンやデュアルスクリーンは、無駄にその機能を使うゲームの乱立を招くのではないかと懸念していたのですが、実際にプレイしてみるとそれは杞憂でした。

たしかに中には無駄にタッチペンを採用したために操作性が悪くなったりしているゲームもあります。でもそれ以上に効果的に使っているゲームが多く、それが面白いのです。それらのゲームは2つのタイプに分類されます。タッチペン必須のものと、タッチペン不要のものです。

タッチペン必須のタイプは一見不便に見えますが、実際には「タッチ」そのものを楽しむ事ができるものがほとんどです。つまり「タッチ」という新しいジャンルを作り出す事に成功しているのです。またタッチペンを使わないで従来の操作方法を採用した場合、明らかに操作性が損なわれる事がわかる物も多く、新しい遊び方の提案よりも一歩進んだ、新しい遊びの提案、と言っても差し支えない物になっています。

またタッチペン不要のものは従来のスタイルとタッチペンを使ったスタイルを両方搭載したものが多く、その時の気分で使い分けできるのが非常に快適です。特に寝ながらダラダラプレイとかする時は、タッチペン使えると「楽だな〜」って実感できます(笑)。今では逆にタッチペンに対応していないRPGがあると「対応しろよ〜」とすら思ってしまいます。慣れって怖い(笑)

もう一つの強みは「快適さ」ではないでしょうか。CDが全盛の時代にあえてROMで行くと任天堂が発表した時にはバカかと思いましたが、携帯機にUMD採用した会社よりは本質を見ていたんだなと今になって気づきました。

レスポンスの速さや読み込み速度の速さはゲームをする上でとても重要なものです。特に時間が限られている時は、ハードを用意する時間も勿体無いぐらいなのに、起動するまで時間がかかる、プレイ中も時間がかかる、セーブするのも時間がかかるでは、まともなプレイ時間さえ確保できません。そんなプレステ系のゲームにイライラがつのっていた頃にDSを初めて触って「セーブ早!」ってちょっと感動しました。だってボタン押したら1秒程度で「セーブ完了」って出るんですよ!?プレステのゲームなんてヘタすると1分以上かかるゲームもあるのに。

最後の強みはゲーム以外のソフトが充実している事。これはね、重要なんです。なぜなら子供の立場からすると、親を説得しやすい、親に買わせやすい、という非常にありがたい特徴だからです。一つのソフトで対戦ができる、というのも親を説得しやすい部分で、他のハードと比べて「お得感」を強調する事ができます。お料理ナビや顔トレなど、一家の財布を握っている母親を動かせるコマも豊富な点もマル。子供のゲーム機は親が買うもの。その親に対するアピール度は、他のハードに比べて群を抜いています。

こうしてみるとDSって売れて当然のハードだと思います。1人で2台持ってても無駄と感じないのはDSだけですもん。今までは基本的に同じゲーム機は一家に1台でした。でもDSは1人1台なんです。この差は非常に大きいです。


まとめ

なんかほとんどDSとPS3の話になっちゃった気がするので、最後に他のハードの話も。

PSPは初代ゲームボーイを髣髴させるんですよ。つまり場所を選ばずプレイできるのは便利だけど、わざわざ携帯機でプレイする必要が無い(据え置き型で十分)というイメージです。なぜなら能力的に据え置き型を超えている部分が無いからです。あくまでも私の目から見て、ですが。

Wiiは興味はありますが、結局ファミリートレーナーのハード版ちゃうの?って感じですか。ゲームしながら運動できると言うのはインドア派が多いゲームの世界では魅力的ですが、それを牽引するようなタイトルが少ないのがやはり厳しいです。ウチの近所の店でWii本体が凄いコーナー作ってたので何気にソフト探したら、隅っこの方で小さい棚のしかも半分だけ使って、置いてあるソフト3本だけって・・・扱いが寂しすぎる。聞くところによると、結構な人がWiiスポーツだけで終わり、みたいな感じらしいし。

結局のところ、ゲームを純粋に楽しみたいと思ったらDSで安定なのが現状なんじゃないかな。DSをスーファミに例えるならPSPはメガドライブ、WiiはPC-FX、PS3はスーパー32Xか3DO辺りで、だけゲー狙い以外では買えないような、そんな状況?何か違うような気がしないでもないけど(笑)。ちなみにDSは名作リメイクよりマイナーなオリジナルの方が面白いよ。

最後に、ここに載せてある話はあくまでも私個人的な考えであって、それ以上でもそれ以下でもない事を付け加えておきます。


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