皆さんこんにちは。くるるです。今回はコアゲーマーの視点から、PSPの魅力について迫ってみようかと思います。
以前エッセイでもチラリと話しましたが、私はPSPに「ゲーム機としての魅力」を全く見出せませんでした。それがここ最近になって状況が変わってきました。それは面白いゲームが出たとか、ゲーム機としての性能がどうとか、そういう事ではありません。ゲームを取り巻く環境の変化と、それによってゲーマーが受ける恩恵が増大したためです。
ここ最近で最も変化したのはゲームの販売形態です。これまでのようなメディア販売から、ダウンロード(以下DL)によるデータの販売に移行しつつあります。もちろん、メディア販売がなくなるという事はないでしょう。しかし、DL販売は確実に増加傾向にあります。
DL販売によって大きく変わるのは、インターネットに繋がる環境さえあれば、欲しい時に欲しいソフトが、売り切れの心配なく気軽に買えるという事です。もちろん、事前にプリペイドなどでお金を登録しておく必要はありますが、古いゲームやマイナーなゲームでも在庫の心配をしなくて良いのは意外と大きなメリットとなります。
また人気作品の場合ベスト版になっている事が多いわけですが、ベスト版というのは中古市場でも値崩れが少なく、ほぼ定価と同じ値段で売られているため、DL販売ではメリットの方が目立ちます。
そしてDL版の一番のメリット、これが今回の話のキーポイントになります。それは購入するのが「データ」である、という事です。
データというのは形があるものではありません。DL販売とはつまりデータ販売であり、そこにはメディア代、マニュアル印刷代、ケース代、そして運送費用や梱包代もかかりません。そのためDL販売では通常のメディア版に比べて、かなり安い値段でソフトを購入できるようになっています。
またデータそのものはメモリースティックに保存されます。そのためUMDの抜き差しなしで、好きな時に好きなゲームがプレイできます。これが非常に便利です。ソフトを持ち歩いて傷つけたり無くしたりする心配はありません。
更に、ソフトやケースの置き場所の心配が無い、というのも大きいです。小さなものとはいえ、本数が増えれば結構邪魔になるのがゲームソフト。DL販売ではソフトも説明書もPSPの中なので、なくす心配もありません。
ちなみにゲームの購入にはプレイステーションストア(以下ストア)を利用します。家にネット環境があれば、買い物に行く必要もなくなるので、時間と交通費を節約できるのも大きいです。特に時間。
ストアではこれまでに配信された全ソフトが購入可能で、価格改定版が出た場合には安い方に自動的に切り替わります。またゲームアーカイブスではプレステやPCエンジンなどのゲームが低価格で配信されていて、そのラインナップも徐々に充実しつつあります。
ストアでは購入とDLは別々に実行できます。しかも購入履歴そのものはいつまでも残っており、一度購入したソフトは何度でも無料でDL可能です。このため、遊ばなくなったソフトをメモリースティックから消しても、後でプレイしたくなった時にはもう一度DLすれば良いため、非常に便利です。
まあ履歴の管理機能が無いので、本数が増えてくると非常に使いづらくなるのは欠点ですが、まあソニーのやる事なので。
ちなみにパソコンがあると更に便利に使う事ができます。
パソコンがインターネットに繋がっていれば、パソコン経由でソフトをダウンロードできます。そのためには公式サイトで専用の管理ソフト「MediaGo」をダウンロードし、インストールする必要があります。このMediaGoを使うと、PSPの活用範囲は更に広がります。
パソコンを使う事で最も恩恵を受けるのは、ソフトを大量に購入する人、そしてPSPを(個人、家族に関わらず)複数台持っている人です。MediaGoでは購入したソフトをパソコンにコピーする機能があります。またセーブデータなどもコピーでき、他に動画や音楽データなどの管理も一元化して行えるようになります。
特に重要なのがやはりゲームそのもののコピーです。ゲームのデータをパソコン上に保存しておけるため、メモリースティックから消しても再ダウンロードせずに高速コピーが行えます。さらにMediaGoを使うと、複数台のPSPにソフトを(権利情報を含めて)コピーできるため、ソフトを1度買えば家にある全てのPSPにゲームをコピーする事もできます。これがメディア版に比べてDL版が最も優れている点です。
ストアにアクセスするためにはアカウントとパスワードが必要になります。実はこのアカウントには、PSP本体の認証データが記録されており、一つのアカウントに対して最大5台のPSP本体を登録できるようになっています。そして認証登録されたPSP本体では、そのアカウントで購入したゲームをプレイする事ができます。
逆に認証されていない本体ではゲームのプレイはできないようになっています。例えばDLしたゲームを友達のPSPにコピーしても、友達の本体ではゲームを起動できません。ソフトのデータに含まれる権利情報と本体の認証情報が合致していなければ起動しない仕組みなのです。
つまり、家族で同じゲームをプレイする場合には、DL販売なら1本のソフトを買うだけで良く、非常に経済的なのです。しかもDL版はメディア版より安いので、更にお買い得になります。
まずメインで使っているPSPでストアにアクセスします。ユーザー登録を行い、アカウントを取得します。(すでに取得していれば、それを利用)
2台目のPSPから、メインのアカウントでストアにアクセスします。この時、認証確認の画面が出るので、画面の指示に従って本体を登録します。ストアにアクセスできたら認証完了です。このままメインで購入したソフトをDLする事もできますが、更にMediaGoを使ってパソコン経由でコピーする手順も紹介します。
MediaGoを開き、メインのPSPをパソコンと接続します。
画面左側にある「本体名:メモリースティック」(※本体名にはPSP本体で設定した名前が表示される)というところの、ゲームのところをクリックすると、PSPにDLしたゲームの一覧が出てきます。
この一覧から、パソコンにコピーしたいゲームを右クリックし、メニューから転送→ライブラリをクリックします。
するとパソコン本体へのコピーが始まります。コピーが終了すると、画面右上のライブラリにあるゲームのところに、コピーしたゲームが登録されます。
2台目のPSPを接続します。1台目は外しても大丈夫です。2台目を接続したら、ライブラリのゲームから、2台目にコピーしたいゲームを選択します。
目的のゲームを右クリックし、転送→本体名:メモリースティックをクリックします。
これで2台目のPSPにゲームがコピーされます。同様の手順でセーブデータなどもコピーできます。
DL版は以上の様に複数台の本体にコピーできるため、企業としては販売本数の減少というデメリットもありますよね?しかし、それでもDL版の方がメリットは大きくなります。
まず中古対策。データだけを転売する事はできないため、これまで問題視されていた中古業界に対して、非常に高い牽制効果があります。
それから先にも出ましたが、経費が少なくて済むため、販売価格を下げる事ができます。また資源も必要としないので環境にもやさしくなっています。
さらに流通関係のタイムロスが少なくなるので、スケジュールに余裕ができることにもなるでしょう。とはいえ、現在ではメディア版との併売も多いので、あまり変わらないかもしれませんが。
そして最後にマジコン対策にもなるという事です。マジコン自体は本来なら違法性が無いと思うのですが、利用法が違法に寄りすぎているためマジコン自体が違法であると言う判決が出てしまいました。しかし、マジコン利用者の中には無料で不正にゲームをする事よりも、むしろゲームをメモリースティックに入れて持ち運んだり、ソフト交換の手間を省いてゲームをしたいと言う、ゲーム環境の快適さを求めて使う人もいます。そういう人にとってはDL販売は自分がやりたかった事が公式に実現した状況であり、マジコンを使う必要性がなくなるという事にもなります。
もちろん、現在では全てのゲームがDL販売されているわけではありませんが、それでもマジコン利用者を減らす効果はあると思います。ただし減るのはマジコンの「合法利用者」であり「違法利用者」の減少にはほとんど役に立たないかとは思いますが。
デメリットとしては、やはりパッケージが欲しいという人にとってはパッケージやソフトが無いのは寂しい、という点でしょうか?あとは他人に貸す事ができないという問題もあります。問題というほどの事かはわかりませんけど。
あとはシステムソフトウェアのアップデートが含まれないため、最新ゲームをプレイするには頻繁にアップデートする必要があるもの面倒くさいです。新作買ってやろうと思ったら、アップデートしてなくてプレイできなかったとか、良くあるので。あと新作が発売日の「何時に配信されるかわからない」というのもどうか。一秒でも早くプレイしたいならメディア版をコンビニで買うのが一番早いし。DL版に限っては、発売日だけじゃなく、配信開始時刻も教えて欲しいと思うのであります!
でも逆に言うと、その程度のデメリットしかないという事です。むしろメリットの方が大きいので、DL版が出ているゲームならDL版を選択しておく方が後々の事を考えても有利だと思います。
あ、もっと大きなデメリットがありました。メモリースティックの価格です。ソフトをDLするとやはり最低でも8GBぐらいは欲しいところなんですが、メモリースティックは高いので結構な出費になります。とはいえ最も安価なマイクロSDをメモリースティックDUOに変換できるアダプタが売っているので、それを利用する手もあります。アダプタ+マイクロSDでもメモリースティックの半額ぐらいで買えるので、純正を気にしないなら、有効な手段と言えます。
ただし、純正品じゃないとワンセグの録画はできません。わざわざPSPでワンセグ録画する人がいるかどうかは別として。あ、あとアダプタとマイクロSDの相性によってはアクセスが非常に遅くなる(読み込み時間が2〜3倍になる)という問題も発生します。大抵アダプタを違うメーカーのに交換すれば直りますが、買う前に相性は分からないので注意する必要があります。対策としては無名メーカーの安いアダプタは買わない事ですかね。
今のところ、大きな問題にはなっていませんが、使えるメモリーカードが1タイトル2枚だけに限定されているようです。一応セーブデータ管理で他のゲームのメモリーカードにデータをコピーできますが、コピーできるだけでそれをゲームから直接読み込む事はできません。対策としてはセーブデータをパソコンなどにバックアップして、既存のデータを削除後、新しくセーブするしかないようです。
何が問題かというと、個人的な話になりますが検証プレイなどでシナリオ各所のセーブデータを保存しておきたいなど、非常に大量のデータを扱う場合です。例えば某RPGの検証のためにメモリーカードを8枚ほど利用していた事もあるのですが、そういう事ができません。普通の人には関係ない話ではありますが、せめて新しいメモリーカードの作成と、メモリーカードの入れ替え機能ぐらいは追加して欲しいところです。
ちなみに何もセーブしなくても1タイトル当たりメモリーカード2枚分(30ブロック分)の容量がメモリースティック内に確保されます。無駄です。ギガ単位で見れば小さなデータではありますが、無駄には違いありません。
なお前述のセーブデータのコピーは、例えば前作のデータがあると隠し要素が開放されるゲームなどで、前作のデータを認識させるためぐらいにしか使えません。基本的に各タイトルで読み込みできるメモリーカードは、そのタイトル専用に2枚確保されるので、普通にプレイする分にはメモリーカードのデータ管理が不要だからです。
PSPはゲーム機としてよりも、むしろメディアプレイヤーとしての方が優れています。音楽の再生は基本的な機能しかなく、イマイチな感がありますが、動画再生はかなり高性能です。
PSPで動画を見るには、パソコンなどを利用してPSP用の動画データに変換しなければなりませんが、やり方さえわかればお気に入りのDVDなどを手軽に見る事ができます。PSP用に動画を変換すると画面が小さいため比例してファイルサイズも小さくなります。特に画質にこだわらないのであれば、H.264 480x272 512kbpsでの変換がオススメです。20分で100MB程度と非常に小さいので、8GBのメモリースティックなら2クールのアニメ全26話分が3タイトルぐらい入ります。2層DVD並みの容量で26話×3タイトル入ると考えると驚異的です。
PSPの場合は場所を選ばないので、例えば時間がなくてたまっているDVDや録画したTV番組などPSPに入れておけば、ちょっとした空き時間などを利用して消化できるため、中々便利です。現状ではチャプタには対応していませんが、標準のサーチ機能が非常に便利なのであまり気になりません。
ちなみにこのサーチ機能は、任意の間隔のスクリーンショットを一覧表示して、見たい場所から再生できる機能です。これがとても便利で他のメディアプレイヤーも標準で搭載して欲しいぐらい、使い勝手が良いです。
とりあえず動画再生機としてみるとゲーム機としてよりも使えるので、そっちに需要の高い人は動画再生専用機として買っても損はないかもしれません。
DSもDL販売を開始しましたし、Wiiでは元々バーチャルコンソールやWiiウェアなどのDL用コンテンツが豊富です。今後はあらゆる機種でDL販売が標準になっていくと思われます。
こういう状況を快く思っていない人もいるようですが、私は大歓迎です。一番の理由は絶版がないという点です。ないとは言い切れないのかもしれませんが、例えばマイナーなゲームであまり売れなかったため流通数が少なく、市場では品薄でオークションでもプレミアがつくようなレアな名作が、今後はやりたい時にすぐに買えるようになるわけです。面白いと評判なのに絶版でプレイできない、という悔しい思いをしなくて済みます。またそういうゲームを薦める場合にも、助かります。
とりあえず今後は過去の名作を充実させてくれる事を祈るばかりです。っていうかシヴィザードをアーカイブスで配信してくれ。頼む、マジで。
DL販売増加でPSPの可能性は広がった。
タイトルの充実度はギリギリ及第点レベル。今後に期待。
複数のPSPで同じゲームをプレイするならDLは必須。
まだまだ動画再生機としての方が優秀。
全ソフトがDL販売に対応してからが本番。
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